薬石茶事と漆器展
2023年5月6日 〜 5月14日
会場 neutral(京都市北区)
古いものに触れることは
それはつまり未來を見ることでもある
一筋の光のように
過去と未來をつなぐもの
ぼくはその狭間で
ゆらゆらと揺れる小さな光の粒なのだ
湾曲して屈折する
大切なことを見逃さないように
neutral 北嶋竜樹
食:皐月豆と鞘大根の山椒味噌和え
器:溜塗豆子(幕末明治)
食:筍の炭焼き、新じゃがと芹の精進揚げ、水茄子と甘夏 茗荷竹の酢の物、大根と生麩の朦朧煮、ほうれん草の湯葉巻き
器:大徳寺縁高弁当(江戸時代)
食:うすい豆と梅干しの白和え、発酵大根、杜松の葉、青紫蘇
器:外潤塗内黒漆 椿皿(明治時代)
食:蕗ご飯、自家製豆腐と精進出汁、小蕪の柚子漬け、スナップエンドウのお浸し、ちりめん菜の浅漬け
器:根来飯椀(江戸時代)真塗黒漆蓋椀(幕末明治)青漆塗小皿(江戸時代)
薬石とは
禅宗では夕食のことを「薬石(やくせき)」といいます。これは元々僧侶の食事は正午を過ぎてからは摂ってはいけないという戒律の中での決まりがあったため、空腹を凌ぐために温めた石を懐に抱いて温めていました。この温めた石のことを温石(おんじゃく)や薬石(やくせき)といい、後に空腹や寒さを凌ぐための「良薬」として石の代わりに軽い夕食を摂るようになったことから夕食のことを「薬石」と呼ぶようになりました。茶の湯の世界では禅宗の影響を受け、温石で懐を温める程度の軽い夕食のことを懐石料理と呼ぶようになりました。この会では、普段の脈絡のない料理とは違った古典的な精進料理に倣って実際に禅寺などで使われていた古漆器と共に供しました。また古漆器は古物商の奥山史登氏(逢季荘)に選んでいただき、会期中展示を行いました。古物の展示は今後もやっていきたいことのひとつです。
食:上賀茂苺と黄金柑、白玉と黒蜜
器:吉野地方目弾き塗菓子椀(江戸時代)